富山弁の不思議ちゃん

目安時間:約 16分

 

 

富山弁と一言で言っても、地域によって、
少しどころかだいぶ違うものです。

 

富山県は、県を東西に分けて
東地区を “呉東(ごとう)”
西地区を “呉西(ごせい)”と呼びます。

 

富山県をちょうど東西に二分する位置に、
「呉羽山(くれはやま)」があります。

 

 

呉羽山を中心として東と西が分かれ、
呉羽山より西側を呉西(ごせい)、
東側を呉東(ごとう)と呼びます。

 

 

上の富山県地図で説明すると、向かって
富山市(を含む)より右側が呉東です。

 

それ以外の左側が呉西になります。

 

 

呉東(ごとう)と呉西(ごせい)では、
富山弁もだいぶ違います。

 

また、山間部や沿岸部など地域によって、
方言が違うので、言葉が通じないような
感覚も無いとは言えません。

 

 

富山弁は、とても特徴的な表現もあり、
楽しい一面もありますのでご覧ください。

 

 

 

【特によく耳にするであろう富山弁】

 

【富山弁】 【共通語訳】 【会話での使用事例】

な~ん

いいえ(NOの意味) お腹空いた?“な~ん”大丈夫やわ。
いいがけ? いいんですか? これもらっても“いいがけ?”
いいがに 構わないのに 気にしなくても“いいがに”
いいちゃ(肯定) いいですよ それ食べても“いいちゃ”
いいちゃ(否定) 結構です 今は“いいちゃ”
あいそむない 寂しい、愛想のない あの人“あいそむない”のぅ~。
○○け? ○○ですか?なの? “どういうことけ?”
あのっさん あの人 “あのっさん”怒りっぽないけ。
○○られ ○○してください、なさい お腹いっぱい“食べられ”
だいてやる 出してあげる、奢ってあげる 今日はオレが“だいてやる”ちゃ。
かいこする 交換する このカードと“かいこする”け?
うい 苦しい、辛い あさから何やら“うい”ちゃ。
きときと 新鮮、活き活き この刺身“きときと”やのぅ~。
こわくさい 生意気 あそこの店員何やら”こわくさい”のぅ。
こんとくない 醜い 性格はいいのに“こんとくない”
さんにょ 精算、お勘定 マスター!“さんにょ”してくれんけ?
しょむない 味(塩気)が薄い この紅鮭“しょむない”のぅ~。
せんまい しましょう みんなで草むしり“せんまい”け。
だちかん ダメ 何回やっても“だちかん”ちゃ。
だやい だるい 昨日から身体が“だやい”わ。
ちゃべ 言いふらす あの人“ちゃべ”だから気ー付んにゃ!
ちょっこ 少し “ちょっこ”休んでいかれま!
ちんと おとなしく しばらくここで“ちんと”しとられ。
つかえん 大丈夫 心配せんでも“つかえん”よ。
つまつま ゆっくり 焦らず“つまつま”としとられ。
つんだって 連れだって いつまで親と“つんだって”行くが?
てきない 元気がない 今日は朝から“てきない”ちゃ。
てっしゅ 小皿 そこの“てっしゅ”取ってくれんけ?
てんでに 各自で 明日は“てんでに”現地集合してくれんけ。
とっぺ 豆腐 暑い日は“とっぺ”に限るのぅ。
とんぼ 先っちょ 釣り竿の“とんぼ”が折れたわ。
とうしに 頻繁に、しょっちゅう あの新聞社“とうしに”勧誘しにくるのぅ。
どもこもならん どうしようもない こうなったらもう“どもこもならん”
なごなる 寝そべる ソファーに“なごなる”
なもない なんでもない そんなことぐらい“なもない”ちゃ。
ねぶか ねぎ(野菜の) 鍋に入れる“ねぶか”あったけ?
ねまる 座る 膝が痛くて“ねまる”こともできんちゃ。
のすと 泥棒 畑のスイカ“のすと”にやられたちゃ。
はがやしい はがゆい、悔しい この信号長すぎて“はがやしい”のぅ。
はごむく 逆らう、反発する 新入のくせに“はごむく”ヤツおるのぅ。
はったおす 張り倒す あいつ“はったおして”やりたいわ。
へしない しょうもない なんとまあ“へしない”ヤツだちゃ。
まいどはや いつもどうも “まいどはや”今日は何にするけ?
またいする しまう 大切なプレゼントを“またいする”
まなしに

しょっちゅう

歳とったら“まなしに”病院行っとるちゃ。
まめなけ? 元気ですか? 久しぶりやね。“まめなけ?”
めぐら まわり 家の“めぐら”中、雑草だらけやちゃ。
やんばい 良い、よかった 無事出産できて“やんばい”のぅ。
よさる うちの子“よさる”になると元気になるちゃ
よばれる ごちそうになる ”よばれる”ばっかで申し訳ない。
わやく 乱雑なこと 娘の部屋はいつ見ても“わやく”だわ。
わらびしい 若々しい あの人いつ見ても”わらびしい”ね。
ん~な 全部 ちょっこじゃないが“ん~な”やよ。

 

 

 

富山弁いかがでしたか?

 

 

実は、上記の表にある富山弁以外にも、
まだたくさんあります。

 

 

でも、富山県で生まれ育ち、
現在も富山で暮らしている私でも、
知らない方言があります。

 

 

普段は使わないような富山弁については、
年齢や住む地域によって違います。

 

 

私は、昭和36年生まれの還暦ですが、
私でさえ聞いたことがない富山弁も
あるくらいです。

 

 

なので、上記富山弁を列記した表には、

 

【特によく耳にするであろう富山弁】

 

というタイトルをつけたわけです。

 

 

 

どの地方でもそうだと思いますが、
高齢者になればなるほど方言も複雑で、
聞き取れなくなるものです。

 

 

さて、富山弁については、
いくつかの特徴があるので紹介します。

 

 

「な~ん」

「○○け?」

「○○ちゃ」

 

という3つの言い回しをよく使います。

 

 

 

まず「な~ん」について・・・

 

 

この「な~ん」については、
富山県人と話す機会がある場合必ず遭遇する
と言っても過言ではないと思います。

 

「な~ん」の意味は、上の表にもあるように、
いいえ…即ち否定を意味します。

 

英語で言う「No」やフランス語の「Non」と、
同じと思ってください。

 

「な~ん(Na~n)」という響きが、
ほわっとしたやさしい感じがしてかわいい!
という県外からの意見もあるようです。

 

使い方としては、こんな感じです。

 

・お腹空かんけ? “な~ん”大丈夫やよ!
(お腹空かない?) (いいえ、大丈夫です)

 

・怒っとるがけ? “な~ん”別に!
(怒ってるの?) (いいえ、別に!)

 

・一緒に行かんけ? “な~ん”いいちゃ。
(一緒に行かない?) (いいえ、結構です)

 

疑問とか質問を投げかけた後の返事に使う
という場合が多いので、よく使います。

 

また、

 

・最近綺麗になったとみんな言っとるわ! 

 

・最近社内で仕事頑張っとると評判だぞ!

というような誉め言葉に対しては、

 

“な~ん”そんなことないちゃ。
(いえいえ、そんなことはありません)

という謙遜の意味でもよく使います。

 

 

 

次に2つ目の「○○け?」について…

 

 

「○○け?」

 

上記「な~ん」の使い方にも出てましたが、

・お腹空かんけ?

・怒っとるがけ?

・一緒に行かんけ?

 

の問いかける言葉の語尾に“け”がついてます。

 

“け?”というのは、

標準語で使うならば、

ですか?ませんか?しませんか?

 

といった場合に使うことが多いです。

 

“いいがけ?”

 

という富山弁もよく使いますが、この場合は、

 

 

「いいんですか?」

 

 

という意味になります。

 

 

 

「いいが?」というのは「いいの?」
という意味で“け”がつくことで「ですか?」
というちょっと丁寧な言い方になります。

 

 

ざっくりと言えば、語尾に“け?”が付く場合は、
あなたに対して、問いかけてるのです。

 

そして、どちらかと言えば相手に対して、
丁寧に問いかけているのです。

 

“け?”については頻繁に耳にすると思います。

 

 

 

 

 

3つ目は「○○ちゃ」についてです。

 

 

「○○ちゃ」についても、とてもよく使います。

 

“いいちゃ”

 

という富山弁は、

 

「いいですよ」

 

という肯定の意味になりますが、

「結構です」

という否定の意味でも使います。

 

ちょっと紛らわしいですね。

 

 

その他肯定や否定の意味以外でも頻繁に使われ、
使い方例としては以下のようになります。

 

 

「知らんちゃ」 ⇒「知らないよ」

 

「わかったちゃ」⇒「わかったよ」

 

「わからんちゃ」⇒「わからないよ」

 

「できんちゃ」 ⇒「できないよ」

 

「つかえんちゃ」⇒「大丈夫だよ」

 

こんなふうにどうも言葉(主に動詞)の未然形に
助動詞がついた語尾につけることが多いようです。

 

大まかには「○○だよ」とか「○○です」
といった意味に使う場合が多いです。

 

「○○ちゃ」については、本当によく使うので、
富山へ来県された場合には必ず耳にするでしょう。

 

 

 

 

 

最後に、もう一つ。

 

「○○られ」とか「○○しられ」という言葉も
よく使われる富山弁です。

 

「○○られ」については、

「沢山食べられ」⇒「沢山食べてください」

 

「休んでいかれ」⇒「休んでいってください」

 

「気ーつけられ」⇒「気をつけてください」

 

といった、相手を気遣う場合に使うことが多く、
やさしい意味合いが含まれています。

 

 

 

一方

「○○しられ」については、

「我慢しられ」   ⇒「我慢しなさい」

 

「ちんとしられ」  ⇒「おとなしくしなさい」

 

「早く帰ってこられ」⇒「早く帰ってきなさい」

 

と言ったように、どちらかと言えば命令調で、
指図する場合に用いる言葉になります。

 

 

 

さて、ここまで大まかに【富山弁】についての、
使い方や解説をさせていただきました。

 

 

まとめますと、【富山弁】は、国内にある方言、
例えば「東北弁」にあるような言葉自体が普段使う
共通語と大きくかけ離れているまるで外国語のような
方言とは違います。

 

 

 

 

もちろん中には、共通語とは全く違う言葉もあり、
理解に苦しむこともあるかとは思います。

 

 

それでも今お話した、

 

「な~ん」

「○○け?」

「○○ちゃ」

 

 

そして最後の、

 

「○○られ」

「○○しられ」

 

の使い方に慣れれば、それほど違和感なく、
意味を理解できて会話もできるはずです。

 

 

 

尚、私自身は富山の東地区を“呉東(ごとう)”
在住のため、西地区を“呉西(ごせい)”及び
海岸付近の特殊な方言については正確には
把握しておりません。

 

 

また、

 

【特によく耳にするであろう富山弁】

 

に書いた内容についても、地域によっては若干違う
表現もあることは、ご理解いただきたいと思います。

 

 

その他の地域の富山弁についての情報を得たのちに、
また投稿させていただくかもしれません。

 

 

富山弁のご理解に少しでも参考になれば幸いです。

 

 

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

 

 

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